戻る


『俺を不老不死にしろよ!!』
 青年は傲慢に言い放った
 胸の奥に湧き上がる不快感を飲み込みながら、ジェイドは静かに嘆息した

 ジェイドは『交渉を楽しむ魔王』として人間達に浸透していた
 彼の元に向かい、代償を払いさえすれば、彼はソレと等価な品物と交換を行ってくれる
 こと交渉ごとについてジェイドは相手を欺く事はしなかった
 簡単なことだ。欺けば、次回以降の交渉は決裂する。
 相手が非常に有能な駒であればあるほど
 ジェイドは交渉相手を大切に扱った。ソレが彼のポリシーでもあった
 それゆえに、秘密裏に彼の元に集う冒険者は少なくない
 ・・・・・・交渉相手が、ジェイドの好みの青年でなければ・・・の話だが・・・・・

 ジェイドが居を構えるは深き森の巨大な塔
 一般の人間が間違っても足を踏み入れることのない秘境
 学園の仕事を終わらせ、彼は静かにこの場所に戻ってくる
 その日手に入れた原材料を調合を楽しむ為に、交渉相手との取引を楽しむ為に
 ワクワクしながら岐路に着き
 彼は、本日の交渉相手と対峙した
(ありゃ、僕の好みの顔してるじゃないかぁ〜♪)
 一目見るや、ジェイドはその青年の容姿を気に入った
 何とか彼を手に入れたいなぁ
 そんな思いをめぐらせていると、青年はニヤニヤと微笑み言葉を投げつけてきた
『おい、お前が魔王か?』
 ・・・・・・・
 一瞬にして気持ちが吹き飛んだ
 そして、思わず額渋面になる
(いけない、いけない・・・)
 気を取り直し、平静を装う
『その通り、僕は妖魔達の王ジェイド様だよん♪』
 明るく楽しく言い放つ
『はは、こんなガキがねぇ・・・』
 吐き捨てるように言い放つ青年の態度
 ジェイドは静かに嘆息した
 ゆっくりと玉座に腰を落とすと、静かに青年を見やる
(はぁ・・・・アタリの様な、はずれの様な・・・・・)
 どうしたものかと思案しつつ、ジェイドは言葉を切り出した
『で、君はこの場所に何しに来たの?何が欲しいの?』
ジェイドの言葉に、待ってましたとばかりに青年は口を開いた
『俺を不老不死にしろよ!!』
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 愚かな
 愚かな願いだった
 この場にいるジェイドですら『死』は存在する
 滅びのない生命など、本当に限られた存在のみだと言うのに・・・・
 ソレをこの男は!!!
 ジェイドにとって、ソレは相手を切り捨てるのに十分な理由だった
 自慢の槍を呼び寄せようか、この男を切り伏せれば、この怒りも収まるであろう
・・・・・・しかし・・・・・・・
 ふとジェイドは思いだした
(そうだ、アレを使おうか!!)
 つい最近出来上がった妙薬
 まだ、人体実験を行ってはいない、そしてこの薬ほど今の条件を満たす薬はないだろう
ニヤリと微笑みながら、ジェイドは静かに口を開いた
『不老不死は・・・・・無理だけど・・・・寿命による死を超越させる事は出来るよ?』
 甘い悪魔の誘惑
 甘言
 その言葉に、この目の前の愚かな男は
 勢い欲食いついた
『マジで!?やりぃ!!!!!』
 元気好くはねとび、体中で歓喜を表現する
『それでは、この薬を・・・・・』
 ジェイドが静かに手を掲げると
 彼の頭上から、彼の掌の中に、小さな小瓶がゆっくりと舞い降りた
 小瓶の仲には、薄い山吹色の液体が仕舞い込まれていた
 ゆっくりと凝視し、中身を確認し、ジェイドは小瓶を青年に投げ放つ
 小瓶は、ふんわりと宙を舞い、青年の手の中に落ちた
『コレを飲んだら不老不死に!?』
『うんうん、詳しく言えば、再生能力も得られるよ。首から上が破壊されない限りは、どんなケガも元通り再生できる体になれるよ♪』
 その言葉を聞き、青年の瞳は輝いた
早速飲み干そうとして、青年はふと手を止めた
『そういえば・・・・代償は?代償がいるんだろ、これ貰うの?』
 気付いたか
 馬鹿は馬鹿なりに何か考えているようだ
 ジェイドはクスクスと微笑み、静かに付け加える
『じゃぁ・・・・君の精液を定期的に頂く事にしよう』
『強制的に?』
『・・・・・いや、君が嫌ならば、そう意思表示してくれたらいい、その時の徴収は控えるから、ソコは大丈夫♪』
 安堵の表情を浮かべ、青年は小瓶の蓋を開けた
『あぁそうそう、一つ聞きたいんだけど・・・?』
 彼が薬を飲むのを静止したのはジェイドの言葉であった
 怪訝そうな表情を浮かべ、青年はジェイドの顔を見やる
『君は不老になって、何がしたいの?』
 その言葉に、男はニヤリと微笑んだ。
『俺、男前じゃん?だから、不死になって色んな女俺のモノにするんだ、ハハッ、すげぇだろう!!!』
 言いながら、青年は一気に薬を飲み干した。

『・・・・・で、お前はそいつを不老にしたわけか?』
 闇の回廊を進みながら、ペールは額に皺を寄せた
 傍らを歩きながら、ジェイドはクスクスと微笑む
『まぁねぇ、交渉は交渉だからねぇ、代償も頂いてるしぃ〜♪』
 その言葉に、ペールの皺がサラに深くなる
『そんな馬鹿に力をやっても、大丈夫かねぇ〜、その内厄介なことにならなきゃいいが・・・・・』
 この男、意外と用心深い
 隣の同僚を見やりながら、ジェイドは肩を竦めた
『その点はね、大丈夫だとおもうよー、本人そんな気ないと思うしね、さ、付いたよー』
 2人の目の前に一つの扉が現れた
 扉には大きく『ジェイドのお部屋♪』と文字が刻まれている
 そう、学園に設置された、ジェイドの部屋の扉である
『今丁度この奥にいるから♪』
 そういい、ジェイドは両手で扉を静かにあけ開いた

『ぁぁぁ・・・・・・・ぁぁぁぇあぁあぁ・・・・・・・・・』
 ソコには、かつて一人の青年であったものが横たわっていた
 ポカンと半開きになった口から大量の涎をたれながらし、見開かれた瞳は何処と見るともなく力なく宙を見据えている
 脳から何か麻薬の様なものが出ているのか、何をしているわけでもないのに、青年のペニスはこれ異常ないほどにそそり立ち
 彼の口からは、言葉とも思えないうめき声がとめどなくあふれ出す
『ぁぁぁぁ・・・・・』
 手足は無かった
 まるで、縮んでしまったかのように、彼の両手両足は奇麗に無くなってしまっていた。
 目の前に広がる光景に、ペールも思わず首をかしげた、コレは一体どういうことだ
 そして、気が付いた
 彼の周辺には大量の粉のような物が撒き散らされている
『・・・・・・ファンガス・・・・か?』
 人間を養分にして育つ凶悪なキノコモンスターの一種
『ご名答、ちょっと改良していい感じにしてみましたー♪』
 キノコは苗床を守ろうとする
 そのために、現状を保つ為に苗床を朽ちさせない成分を出し続ける
 そして、苗床は永遠の若さを保ち続ける
 苗床が傷つけば、すぐさま菌糸を張り巡らせ傷口を塞ぐ
 ・・・・・交渉の通り、何一つうそは無かった
『まぁ、ソコに本人の意思は無いかもだけどねぇ〜♪』
 ニコリと微笑み肩を竦める少年の顔には万遍の笑顔
『お前、ヤッパリえげつねぇわ・・・』
『魔王ですから〜♪』
 ソレを見て、やれやれと嘆息するペール
 再び足ものとそれを見下ろし、ペールは口を開いた
『そういや手足はどうしたよ、お前がきったんか?』
『いんやー、多分菌糸が養分にしちゃったんだと思うよぉ〜、苗床は動く必要もないしねー♪その分養分に変えちゃったほうが効率的だし』
 あっけらかんと言い放ち、ふと気付く
 苗床のペニスがビクビクと痙攣をし始めている
『ぁぁア・・・・あぁぁあああああ・・・・・・あぁぁぁぁ・・・・・・』
 力なく嗚咽が放たれたかと思うと
 青年のペニスから
 大量の精液があたりぶち撒けけられた
 噴水のように撒き散らされ、青年の体中に白い液が降り注ぐ。
 次の瞬間

ずぶ・・・ぶちゅ・・・

 彼の体が己の精液を吸収していく・・・・
 菌糸が精液を餌にまた広がっていくのだ
 彼自身・・・が生き続ける為に・・・・
 繁殖し続ける為に・・・・・
 後数年この姿が保てるのだろうねぇ
 今度ペールと賭けをしてみよう、そう思いながらジェイドは静かに微笑んだ。

戻る