世界の始まり
彼は強大な魔族であった
力を得る為に、仲間を呑み、人を呑み、神を呑んだ
そして強大になった彼は気がついた
彼の周囲には誰も居なくなってしまった
生きるものの無くなった世界・・・・
彼一人となった世界
彼は・・・最後に世界を呑みこんだ
永い時
虚無の空間を移ろう彼の目の前に
ひとつの世界が現れた
其処は、神の存在しない、生まれたばかり世界
人間と少数の生き物達が暮らす、小さな小さな世界
そして、脆弱なその世界は、統治するものを求めていた
魔王は、その世界で『神』となることにした
世界を守るため、彼は静かに舞い降りた
彼は己の体を4つに切り離した
切り離した肉体の一部に瘴気を集め風を司る者を作り上げる
同じく、荒ぶる炎、砕ける大地、腐る海に肉体を分け与えた
己の分身とも言える存在を作り上げる
それに加え、それら補佐として
嵐の黒龍
七つ首の水龍
獣の王
始祖なる巨狼
を作り上げ、与えた
最後の仕事として
魔王は強大な魔力を行使し
世界に活力を与えた
世界は魔王の魔力により更なる命を吹き込まれ
4人の王の働きにより、安定を約束された
魔王は満たされていた
満ち足りた彼は、静かに眠りについた
世界の中心で、失いし魔力を取り戻すために
静かに静かに眠りについた
4人の王は彼らの主の休息の為に
地下神殿を作り、其処を彼の寝所とした
そして、その寝所を守るべく、巨大な建物を建造した
それが始まりの物語