「素晴らしい、俺の最高傑作だ!!」 出来上がった素体を見つめ、魔術師ギースは笑みを浮かべた 『ソーサリー・∞』における合成魔獣学の最高責任者ギース 彼は、捕えた反勢力を魔物と合成させて兵士を造り上げて来た そんな彼の最高傑作が、この双頭蟲人『ブラック・オーン』であった 「これならばジャスティスファイブを亡きものに出来る!!」 『ブラック・オーン』の無数の爪は巨大な岩の塊を容易く粉砕させる これで掴まれたなら、いくらあの戦士達であっても抵抗は出来ない 手応えを感じ、拳を握り占めるギース その時だ 「ギース!!ジャスティスファイブが近くまで来ている!!」 彼の友にして、『ソーサリー・∞』最高責任者アルケミー・ラグスの声が響く 「ククク、丁度良い、目に物を見せてくれる!!」 ギースは高らかに出陣の宣言をする そんな彼の脇で、かつての若い青年達は壊れた笑を浮かべ続けていた 嘗ての凛々しい姿を想像することは出来ない 時折意味不明な言葉を放つ様から、最早彼らが正気で無い事は容易に理解出来た 目を開き、涙と鼻水とヨダレをまき散らし、彼らはヘラヘラと笑い続けていた 「行くぞ?」 促され、ブラック・オーンは奇声を放ち答える 戦地の赴く主に寄り添い、兄弟達は静かに歩を進めた |