正門と、勝手口の進路をふさがれ、ルフトは渋面となる
完全に退路をふさがれて閉まった
どうすれば良いのか
半ばパニック状態の頭を全力で回転させ、彼は埋もれていた記憶から、退路を導き出した
王族の部屋には、特殊な逃走経路を用意されている
そうだ、何故気づかなかったのだろう
そこから逃げれば良いのではないか
最も近いのは、このまま階段を上った先にある、兄の部屋
そこへ行けば、逃げおおせられる
彼は、息を殺しながら兄の部屋へと急いだ
辿り着いた部屋の前
周囲に人気が居ない事を確認し、扉の元に走り行く
そして不意に気がついた、中から人の気配がする、兄が中に居るのだろうか
ルフトは鍵穴から中の様子を伺った
そこには
兄がいた
いや、正式には、かつて兄であった存在があった
瞳は狂喜に歪み、体の彼方此方は異常にふくらみ、また変形していた
「中々言いカッコになったなコイツ」
「だろ?なんせ魔族のペットだからな、あんなひょろひょろしたのじゃ駄目だ、コレくらいの迫力がなきゃぁ・・・」
彼は、魔族達に捕まり
改造されたのだ
彼等の愛玩動物として最もふさわしい姿に
だらりと垂れ下がった舌からは、魔族に媚を売るか細い奇声が発せられた
弟同様、彼もまた、元には戻らない
あの、聡明で優しい兄は、死んでしまったのだ
「あぁ・・・あ・・あ・ぁ・・・・」
望んでいない、こんな事は望んでいない
ただ、王に
王になりたかった、それだけだと言うのに
己が犯した罪に、ヨロヨロと後ろに後ずさる
そして、刹那
彼は背中に何かがぶつかる感触を覚えた
おかしい、この位置に柱や壁の類はは無かったはずだ
恐る恐る振り返ると
そこには、あの赤毛の魔神が笑みを浮かべながら彼を見下ろしていた。
「探したぜぇ、召喚主殿。ちょいと目を離した隙に居なくなっちまうんだから、こまるぜぇ」
刹那、ルフトの胸を絶望が支配していた
4日目、愛玩動物でした 捕らえられた人間の幾つかは、魔族達によって愛玩動物として飼われる事があります コレは陵辱目的と言うよりも、玩具といった概念が多い 体を改造し、己の最も気に入った姿に改造した後 死ぬまで飼いならす(飽きるまでとも言う)、ソレが魔族の楽しみの一つであったりします きっとこのお兄ちゃんも、暫く飼いならされた後処分されるんだろうなぁ |